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学校会計のチカラ
判例紹介「固定資産税等賦課処分の取消請求事件」

今回は固定資産税について掲載しますが、内容は固定資産税関係の判例紹介です。
学校法人が、病院建築中の土地に対して固定資産税を賦課されたことにより、これを違法としてその取消を求めた事案です。

「固定資産税等賦課処分の取消請求事件」
判決(平成25年2月6日 東京地方裁判所)
平成24年(行ウ)第426号

1.事案の概要

学校法人がその保有する土地にたいして、港都税事務所長から固定資産税等の賦課決定処分(課税処分された税額は、固定資産税4,768万円、都市計画税1,021万円)を受けたが、学校法人は、所有する土地は固定資産税の非課税対象を規定する地方税法348条2項の9号にいう「直接に教育の用に供する固定資産」又は12号にいう「学術研究のため直接その研究の用に供する固定資産」に該当し、固定資産の課税処分は違法であるとして、その取消を求めた事案である。

2.前提となる事実

当学校法人は、保健医療福祉に関する指導者及び専門従事者の育成等を目的とする学校法人であり、隣接する土地を新病院建設用地として平成22年3月19日に購入し、固定資産税賦課期日(平成23年1月1日)においては新病院の建築工事中であった。
東京地裁の判断は、学校法人は土地の上に建物を建築中だったため、土地非課税要件に該当せず賦課決定処分は適法であるとして、学校法人(原告)の訴えを棄却しました。

3.争点と主張

争点は、本件土地が平成23年固定資産税等の賦課期日(同年1月1日)において直接教育の用に供する固定資産に該当するか否かに在るが、争点をさらに細分化して原告と被告の主張をまとめると次のようになる。

争   点 原告(学校法人)の主張 被告(都税事務所長)の主張
(1)「直接保育又は教育の用に供する固定資産」の意義及び
「学術研究のため直接その研究の用に供する固定資産」の意義
当文言は、常態として直接に学術研究の目的に供される固定資産及びそれを維持管理するために通常必要とされる固定資産と解し、「実際にその用に使用している」固定資産という意味ではない。

また、「供する」の語は当該固定資産の性格、属性を示す意味であり、「実際に使用している」状態に限定すべきではない。

当文言は、実際の非課税認定に当たっては賦課期日現在の利用実態が現実に教育の用に供されていると認められるか否かの事実認定をして判断する、という意味に捉えるべきである。
(2)建築中の固定資産上の建物が教育上の固定資産に該当するか 建築中の段階であっても、設計の内容が教育施設として判断されるものを実質的に判断し、その固定資産が教育用固定資産であると認定されるときは、非課税対象の固定資産である 新病院を建築中であったが賦課期日において教育活動のために利用することを常態としていないため、非課税要件に該当しない。
4.裁判所の判断

東京地裁の結論は、原告(学校法人)の請求は理由がないとして棄却された。

論  点 東 京 地 裁 の 判 断
「直接教育の用に供する固定資産」とは 固定資産税の賦課期日における現況において、その学校において教科の履修その他学校教育の目的とする教育活動が実施されていることを常態としている固定資産をいう。
建物が賦課期日において、教育活動を実施されることが常態とするものに該当するか  学校教育活動の用に供する建物が建築中であることをもって、それが「直接教育の用に供する固定資産」に該当するとは解しがたい。
固定資産税の賦課期日において新病院の建築中であり、その土地の使用実態に照らし、その当時の現況において教育活動が実施されることを常態とするものではなかったと考えられる。
5.検 討

「直接教育の用に供する固定資産」の解釈については、学説上、次の三つの見解がある。

①教育の用に供されるべき属性が有れば足りるとする説

②現に教育の用に供しているか、近い将来、確実に教育の用に供されることが客観的な状況、関係書類等から明確である場合も含むとする説

③賦課期日において教育の用に供されていなければならないとする説
これについての多数の裁判例があるが下級審であり、いずれも③に依っているが、いまだ最高裁の判断は下されていない。

この問題についての筆者の見解は、本件の場合、その建築目的が教育活動の用に供することが建築設計書、建築仕様等によって明らかにされており、実際上も建築後はその目的通りの用に供されている事実があることから②が妥当であると思われるが、実務上においては、本判決の解釈が定着しており、当局の賦課決定処分及び司法判断を覆すことは困難であると考える。

〔参考〕
学校法人等の固定資産税の非課税対象資産に関わる関連条文
「学校法人等がその設置する学校において直接保育又は教育の用に供する固定資産」

  • 「学校法人等がその設置する学校において直接保育又は教育の用に供する固定資産」
    (地方税法348条2項9号)
  • 「学術研究の用を目的とするものがその目的のため直接その研究の用に供する固定資産」
    (地方税法348条2項12号)

斎藤総合会計グループ
(株)中央総合研究所
税理士 綱野 誠次


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