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学校会計のチカラ
不動産貸付業、席貸業(収益事業課税)のポイント

4月の「学校会計のチカラ」第2回は、不動産貸付業及び席貸業のポイントを解説します。
前回の物品販売業と同様に、この2つの事業も多くの学校法人が行っていることが想定されます。

1. 不動産貸付業、席貸業とは

不動産貸付業とは、有償で不動産を貸付ける事業をいいます。
席貸業とは、有償で施設の一部などを時間や期間などを区切って貸付ける事業をいいます。
両者は、有償で貸付けを行う点で共通しますが、期間や時間を区切って行う点で異なります。すなわち、不動産貸付業は契約期間など一定期間に渡り継続的に行われる貸付けですが、席貸業は一時的に行われる貸付けにとなる点で異なります。
不動産貸付の範囲について具体例をあげますと、以下のようになります。

●不動産貸付に該当するものの具体例(いずれも有償で行うもの)

① 電柱等設置のための敷地貸付け
② 校宅の貸付け
③ 電気会社などへの校舎屋上の貸付け
④ 電気会社などからの高圧線下補償料の受け取り

席貸の範囲について具体例をあげますと、以下のようになります。

●席貸に該当するものの具体例(いずれも有償で行うもの)

① 校庭・グラウンドなどの一時的な貸付け
② 学習塾などへの校舎の一時的な貸付け
③ 体育館などの運動用施設の一時的な貸付け

2. 通達での取扱い

不動産貸付業については、法人税基本通達において5つの定めがあります。

●法人税基本通達での取扱い(不動産貸付業)

① (不動産貸付業の範囲)15-1-17
② (非課税とされる墳基地の貸付)15-1-18
③ (非課税とされる国等に対する不動産の貸付け)15-1-19
④ (非課税とされる住宅用地の貸付け)15-1-20
⑤ (低廉貸付けの判定)15-1-21

席貸業については、法人税基本通達において3つの定めがあります。

●法人税基本通達での取扱い(席貸業)

① (席貸業の範囲)15-1-38
② (会員に準ずる者)15-1-38の2
③ (利用の対価の額が実費の範囲を超えないもの)15-1-38の3

3. 想定される勘定科目(収入)

不動産貸付業、席貸業の適用が想定される勘定科目(収入)ですが、資金収支計算書を例にすると以下のとおりです。

●適用が想定される収入科目

① 「雑収入」(大科目)のうち「施設設備利用料収入」(小科目)
② 「雑収入」(大科目)のうち「その他の雑収入」(小科目)

4. 不動産貸付業、席貸業であっても収益事業から除外されるもの

学校法人が行う不動産貸付けや席貸しのうち、そもそも不動産貸付業、席貸業に該当しないものについては、法人税基本通達15-1-17(不働産貸付業の範囲)、15-1-38(物品販売業の範囲)に定められています。
そのうえで、不動産貸付業、席貸業であっても収益事業から除外されるものとして以下のようなものがあります。

(1) 国等に対する不動産の貸付け
学校法人が国又は地方公共団体に対し、直接使用されることを目的として直接行う不動産貸付けは、不動産貸付業であっても収益事業から除外されます。

(2) 住宅用地の貸付け
学校法人が主として住宅の用に供される土地の貸付けを行い、その地代が低廉である等財務省令で定める要件を充たしている場合には、不動産貸付業であっても収益事業から除外されます。ここに財務省令で定める要件とは、地代が固定資産税及び都市計画税の3倍以下であることとされています。

(3) 主たる目的とする業務に関連して行う席貸しのうち、対価の額が実費の範囲を超えないもの
学校法人がその主たる目的とする業務に関連して行う席貸業で、会員その他これに準ずる者の用に供するもののうち利用対価が実費の範囲を超えないものは、席貸業であっても収益事業から除外されます。

以上

斎藤総合税理士法人 照井


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