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学校会計のチカラ
学校法人の決算 3

今月は学校法人の決算について解説をしています。第3回目は、前回に引き続き個別の決算事項についてです。今回は、借入金、退職給与引手金、第1号基本金等を説明していきます。

2. 個別の決算事項

(11)借入金、学校債
学校法人の外部からの借入があるときは、1イヤールールにより、期末日後1年以内に返済期限が到来する借入金を短期借入金とし、1年を超えるものを長期借入金に計上します。すなわち、長期借入金に計上された金額のうち返済期限が1年以内の部分を短期借入金に振替える処理が必要になります。
また、学校債を発行している場合にも1イヤールールに基づいて、学校債(固定負債)と1年以内償還予定学校債(流動負債)に計上します。

(12)退職給与引当金
退職金規程等により退職金を支給することとしている場合には、当該規程等を基に算出した期末要支給額の100%を退職給与引当金として計上することになります(「退職給与引当金の計上等に係る会計方針の統一について(通知)(平成23年2月17日 22高私参第1号)」)。また、公益財団法人私立大学退職金財団や各都道府県ごとに設立された私立学校退職金団体に加入している学校法人は、期末要支給額から各団体から交付される額(私立大学退職金財団の掛金については調整計算を行い)を控除して、退職給与引当金の計上額を計算します。
なお、会計年度末に退職する教職員に対して支給する退職金で、その支給が確定しているときは、当該支給額は退職給与引当金に含めず未払金等の勘定科目へ振替えて計上します。

(13)基本金
基本金の組入れ額の計算は、各号基本金ごとに組入れ対象額が取崩し対象額を超える場合には、その超える金額を基本金の組入れ額とし、取崩し対象額が組入れ対象額を超える場合には、その超える金額を基本金の取崩し額とします。また、部門別に組入れ額の計算をしている場合には、部門ごとに上記の計算を行います。各号ごとの組入れ額の合計額と取崩し額の合計額は、それぞれ、事業活動収支計算書の基本金組入額合計と基本金取崩額に一致することなります。

① 第1号基本金
第1号基本金は、「学校法人が設立当初に取得した固定資産(略)で教育の用に供されるものの価額又は新たな学校の設置若しくは既設の学校の規模の拡大若しくは教育の充実向上のために取得した固定資産の価額」と規定されています(学校法人会計基準第30条第1項第1号)。第1号基本金の組入対象資産には、学校法人の少額重要資産を含む教育研究用の固定資産や教育研究を成り立たせるために必要なその他の固定資産、例えば、法人本部施設や教職員の厚生施設等が含まれます(「基本金設定の対象となる資産及び基本金の組入れについて(報告)」について(通知)(昭和49年2月14日文管振第62号))。ただし、退職給与引当特定資産や収益事業元入金等の投資を目的とする資産は組入れ対象にはなりません。
また、基本金は「その事業活動収入のうちから組み入れた金額」(第29条)とされますので、学校法人が自己資金で取得した固定資産の額に基づきます。そのため、基本金組入対象資産の取得資金を借り入れた場合やその代金が未払の場合には、借入金や未払金を返済又は支払を行った会計年度において、当該返済又は支払金額を基本金へ組み入れることになります。
なお、「学校法人会計基準の一部改正に伴う計算書類の作成について(通知)(平成25年9月2日 高私参第8号)」では、学校法人が保有する有形固定資産や無形固定資産について、現在使用が困難であり、かつ処分することもできない場合に、理事会や評議員会の承認を受けて、備忘価額を残して貸借対照表の資産計上額から除くことができるものとしています。当該処理の対象となった固定資産については、その取得価額相当額を基本金から取り崩すことになります。

② 第2号基本金
第2号基本金は、「学校法人が新たな学校の設置又は既設の学校の規模の拡大若しくは教育の充実向上のために将来取得する固定資産の取得に充てる金銭その他の資産の額」と規定されています(学校法人会計基準第30条第1項第2号)。第2号基本金の組入れは、理事会や評議員会で決定した固定資産の取得に係る基本金組入計画に基づいて行います(同条第2項)。また、第2号基本金引当特定資産を取崩し、固定資産等の取得代金の支払いを行ったときは、第2号基本金から第1号基本金への振替処理を行います。
第2号基本金を組み入れた場合には、組み入れ対象の固定資産の取得が終了する年度まで、毎年度第2号基本金の組入れに係る計画表を作成します(学校法人会計基準の一部改正について(通知)(昭和62年8月31日文高法第232号))。

③ 第3号基本金
第3号基本金は、「基金として継続的に保持し、かつ、運用する金銭その他の資産の額」と規定されています(同条項第3号)。第3号基本金の対象となる資産は、寄付者の意思や学校法人自らの決定により、元本を継続して運用しその果実を教育研究活動に使用することとなる基金等です。

永和監査法人
公認会計士 大島隆光


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