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学校会計のチカラ
計算書類の注記 3

前回までは計算書類の注記事項のうち重要な会計方針について説明しました。今回は、改正後の学校法人会計基準で追加等された注記事項や「その他財政及び経営の状況を正確に判断するために必要な事項」の概要を説明していきます。

1.学校法人会計基準の改正に伴う注記事項の追加等

学校法人会計基準の改正に伴い以下のとおり注記事項の追加等がされています(「学校法人会計基準の一部改正に伴う計算書類の作成について(通知)(平成25年9月2日 25高私参第8号)」)。

  • 活動区分ごとの調整勘定等の加減の計算過程の注記
  • 第4号基本金相当の資金を有していない場合の注記
  • 有価証券の時価情報に係る注記の追加
  • 学校法人間取引についての注記

以下では、改正された事項を中心に注記事項を説明していきます。

(1)活動区分ごとの調整勘定等の加減の計算過程の注記
改正後の学校法人会計基準第4号様式の(注)3では、活動区分ごとの調整勘定等の加減の計算過程を注記するものと規定されています。当該注記は活動区分資金収支計算書の末尾に記載するものとされています。

(2)第4号基本金相当の資金を有していない場合の注記
学校法人会計基準第34条第7項では、当該会計年度の末日において第30条第1項第4号に掲げる金額に相当する資金を有していないときには、その旨及び当該資金を確保するための対策を記載するものと規定しています。
第4号基本金に相当する資金とは、貸借対照表に計上される現金預金や支払資金としての機能を有する現金預金に類する金融商品をいい、第4号基本金に対応する名称を付した特定資産は含まれますが、その他の特定資産は含めないものとされています。
なお、第4号基本金に相当する資金を有している場合においても、当該注記項目を省略することはできません。その場合には「第4号基本金に相当する資金を有しており、該当しない」旨の記載を行います。

(3)有価証券の時価情報に係る注記の追加
改正前の学校法人会計基準における有価証券の時価情報の注記に加えて、保有する有価証券の種類ごとの時価情報を注記します。

(4)学校法人間取引についての注記
学校法人間において、資金の貸付や借入、寄付、人件費等の負担、債務保証や担保提供等の取引を行った場合や年度末において残高があるときは相手先の学校法人名、取引内容や金額等を記載します。
注記の対象となる取引は学校法人間における財政的な支援取引です。例えば、科学研究費補助金により取得した教育研究用機器備品を教員の移籍に伴い移籍元の学校法人から移籍先の学校法人に寄付する場合のような法令等の要請による取引等、明らかに財政的な支援取引でないものは注記の対象から除かれます。
また、取引が無償の場合又は有償の場合であっても取引金額が時価と比べて著しく低い金額による場合には、原則として第三者間において通常の取引として行われる場合の金額によって金額的な重要性を判断します。

2.その他財政及び経営の状況を正確に判断するために必要な事項の概要

「学校法人会計基準の一部改正に伴う計算書類の作成について(通知)(平成17年5月13日 17高私参第1号)」では、「その他財政及び経営の状況を正確に判断するために必要な事項」として以下のものを掲げています。

  • 有価証券の時価情報
  • デリバティブ取引
  • 学校法人の出資による会社に係る事項
  • 主な外貨建資産
  • 負債
  • 偶発債務
  • 純額で表示した補助活動に係る収支
  • 関連当事者との取引
  • 後発事象

上記のほか、文部科学省の通知により以下の注記事項が定められています。

  • リース契約1件あたりのリース料総額が300万円以下の所有権移転外ファイナンス・リース取引やリース取引開始日が平成21年3月31日以前のリース取引を通常の賃貸借取引に係る方法に準じて処理している場合の注記(「リース取引に関する会計処理について(通知)(平成20年9月11日 20高私参第2号)」)
  • 退職給与引当金の計上に係る変更時差異を平成23年度に一括計上せず、毎年度均等に繰り入れる措置によった場合の注記(「退職給与引当金の計上等に係る会計方針の統一について(通知)(平成23年2月17日 22高私参第11号)」)

永和監査法人
公認会計士   大島隆光


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