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学校会計のチカラ
簡易課税制度のポイント 2

前回に引き続き、消費税の簡易課税制度を取り挙げます。今回は、学校法人における簡易課税の具体的な事業区分にスポットを当てて説明していきます。

1.簡易課税制度における事業区分とみなし仕入率

あらためて事業区分とみなし仕入率をまとめますと、以下のとおりです。

事業区分  みなし仕入率 該当する事業
第一種事業 90% 卸 売 業 
第二種事業 80% 小 売 業
第三種事業 70% 農業、林業、漁業、製造業など
第四種事業 60% 飲食店業、固定資産の売却など
第五種事業 50% サ ー ビ ス 業 な ど
第六種事業 40% 不 動 産 業
2.学校法人における具体的な事業区分

(1) 第一種事業(みなし仕入率:90% = みなし利益率:10%)
卸売業とは、他の者から購入した商品を、その性質及び形状を変更しないで他の事業者(他の学校法人、業者など)に販売する事業をいいます。

(例)
・他の学校法人や業者への物品販売収入

(2) 第二種業(みなし仕入率:80% = みなし利益率:20%)
小売業とは、他の者から購入した商品を、その性質及び形状を変更しないで消費者(保護者、学生など)に販売する事業をいいます。

(例)
・売店収入といった物品販売収入
・教材収入(課税とされるものに限る)といった教材販売収入
・バザーにおける物品販売収入

(3) 第三種事業(みなし仕入率:70% = みなし利益率:30%)
第三種事業には、農業、林業、漁業、製造業などの事業が該当します。第一種事業と第二種事業は購入した商品の性質及び形状を変更しないで販売するのが特徴ですが、第三種事業は購入した商品の性質及び形状を変更して販売するのが特徴です。製造業などではイメージがし難いかもしれませんが、ここには出版業も含まれます。

(例)
・学校法人で作成した入試要項、入試問題の販売収入
・学校法人で製造した製品の販売収入
・学校法人で生育した農産物の販売収入

(4) 第四種事業(みなし仕入率:60% = みなし利益率:40%)
第四種事業は、第一種事業、第二種事業、第三種事業、第五種事業及び第六種事業のいずれにも該当しない事業をいいます。他のどの事業区分にも該当しない項目が対象となる、いわゆるバスケット・カテゴリーとなります。主に飲食店業や固定資産の売却が該当します。

(例)
・学校法人が行う食堂事業収入
・学校法人が所有する建物、器具備品などの売却収入

(5) 第五種事業(みなし仕入率:50% = みなし利益率:50%)
第五種事業は、サービス業などのうち、第一種事業から第三種事業までの事業に該当しないものをいいます。

(例)
・オープンカレッジの収入
・校外教育収入(課税とされるものに限る)
・仲介手数料、保険事務手数料といった手数料収入
・教育実習生を受け入れた際の謝金収入
・スクールバスの運行収入

(6) 第六種事業(みなし仕入率:40% = みなし利益率:60%)
第六種事業は、第一種事業から第三種事業及び第五種事業以外の不動産業が該当します。

(例)
・学習塾やセンター試験の利用による設備利用料収入
・駐車場を利用したことによる収入

以上をまとめますと、簡易課税制度を採用している学校法人の場合、第二種事業、第三種事業、第五種事業及び第六種事業を中心に計算がなされるかと思います。事業区分の判定がそのまま消費税の納付額に影響しますので、注意が必要です。

照井 俊行


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