学校教育法(法律第26号として昭和22年に制定)とは、日本国憲法に基づき、教育基本法(法律第25号として昭和22年に制定)を受けて、学校教育の具体的な内容を定めたもので、学校教育制度の根幹となる法律であります。
この法律で定める学校とは、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校(盲学校・聾(ろう)学校・養護学校)、大学及び高等専門学校をいい、いわゆる1条項と言われている学校です。
ちなみに、学校教育法第124条に規定する学校を専修学校といい、同法第134条に規定する学校を各種学校といいます。
各学校は設置の目的や教育目標、修行年限、教職員の数等、基本的なことが、学校教育法によって規定されており、学校の種類に応じ、文部科学大臣の定める設備、編制その他に関する設置基準に従わなければならないこととなっており、各学校法人は、このような一定の法の下での運営を行わなければならないこととなっています。
高等教育機関の質保証に関しては、大学等の設置を文部科学省が認可する制度のほか、自己点検評価や外部評価(第三者評価)の実施が義務づけられています。
【改正私学法、平成27年4月1日から施行】
今回の改正ポイントは次のとおりです。
- 副学長の職務について
第92条第4項において、副学長の職務について、従来は「副学長は、学長の職務を助ける。」としていましたが、今回の改正においては「副学長は、学長を助け、命を受けて校務をつかさどる。」としたことで、学長の支持を受けた範囲内の校務について、副学長の権限を強化したこと。 - 教授会の役割の明確化について
第93条第1項において、教授会の設置について、従来は、「大学には、重要な事項を審議するため教授会をおかなければならない。」としていましたが、今回の改正においては「大学に、教授会を置く。」としたこと。 - 合わせて、同条第2項及び第3項は新たに規定を設け、教授会で審議する重要な事項として、「学生の入学、卒業及び課程の修了」、「学位の授与」、「そのほか教育研究に関する重要な事項で、学長が教授会の意見を聞くことが必要であると認めるもの」と規定し、さらに、教授会は学長等の求めに応じて意見を述べる関係にあり、最終的な決定権者は学長等であることが明確化されました。
なお、大学を設置する学校法人には、文科省より「内部規則等の総点検・見直しに実施通知(事務連絡 平成26年8月29日 文科省高等教育局 大学振興課)」が発出されております。大学設置法人においては、すでにこれらの事項は規定化されていると思いますが、今一度、教授会規程(規則)等の再点検が必要なことに留意する必要があります。
【改正の趣旨】
大学(短期大学を含む。以下同じ。)が、教育研究機能を最大限に発揮していくためには、学長のリーダーシップの下、戦略的に大学を運営できるガバナンス体制を構築することが重要であることから、大学組織及び運営体制を整備するため、副学長の職務の内容を改めるとともに、教授会の役割を明確化しました。
【トピックス】
現在は、特例でしか認められていない小中一貫校を制度化する改正学校教育法が、平成27年6月17日の参議院本会議で自民、公明、民主、維新の賛成多数で可決・成立し、2016年4月1日から施行されることとなりました。改正学校教育法では、現行の小・中学校に加え、小学校から中学校までの義務教育を一貫して行う小中一貫校を「義務教育学校」という名称で新たな学校の種類に規定されました。
改正法案の概要は、
① 義務教育の9年間を「6年・3年」にとらわれずに教えることが可能な「義務教育学校」を新設すること。
② 各自治体などの判断で学年の区切りを「4・3・2」制や「5・4」制など、学校教育制度の多様化や弾力化を
推進するため、カリキュラム編成などは柔軟に対応できることとなったこと。
③ 「義務教育学校」を小中学校などと同じ「学校」として明記し、校長は1人で、教員は原則として小中両方の
免許が必要ですが、一方の免許状を有する者については等分の間前期課程または後期課程の主幹教諭、
指導教諭、教諭、講師になることができること。
④ 校舎は同じ敷地内でも離れていても構わないとしていること。
これにより、学年の区切りを柔軟に変更することができることにより、中学の内容を小学校段階で先取りして教えるなどの取り組みが可能になります。
(赤川 富彦)