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学校会計のチカラ
物品販売業(収益事業課税)のポイント

今月より「学校会計のチカラ」は、税務編に突入をいたします。4月は4回に渡り、法人税・地方税(収益事業課税)を取りあげます。前半2回は、収益事業34業種のうち多くの学校法人での適用が想定される項目を取りあげます。第3回は学校法人関係者が誤解をしがちな項目を取りあげ、第4回は学校法人関係者が忘れがちな項目を取りあげます。

具体的には、以下のとおりです。

第1回:物品販売業
第2回:不動産貸付業、席貸業
第3回:私立学校法及び法人税法における収益事業
第4回:収益事業を行っている場合の地方税

第1回の今回は、物品販売業のポイントを解説します。

1. 物品販売業とは

物品販売業とは、物品の販売業をいいます。ここに物品とは、文字とおりの物品の他に動植物その他通常物品といわないものも含まれます。
物品販売の範囲について具体例をあげますと、以下のようになります。

●物品販売に該当するものの具体例

① 直接不特定多数の者に対してする栽培した農作物の販売
② 郵便切手、収入印紙(通常物品とはいわないもの)の販売
③ 売店等での物品の販売

(例)
・授業において使用しない参考書などの任意に学生生徒等にする教科書等の販売
・ノート、筆記具などの文房具、ミシンや糸などの編物機械道具及び食料品などの厨房用品の販売
・直接生徒等にする制服、制帽等の販売

2. 通達での取扱い

物品販売業については、法人税基本通達においては2つの定めがあります。

●法人税基本通達での取扱い(物品販売業)

① (物品販売業の範囲)15-1-9
② (宗教法人、学校法人等の物品販売)15-1-10

3. 想定される勘定科目(収入)

物品販売業の適用が想定される勘定科目(収入)ですが、資金収支計算書を例にすると以下のとおりです。

●適用が想定される収入科目

① 「不随事業・収益事業収入」(大科目)のうち「補助活動収入」(小科目)
② 「雑収入」(大科目)のうち「その他の雑収入」(小科目)

4. 物品販売業に該当しない物品販売

学校法人が物品販売を行なった場合、すべてが収益事業とされる物品販売業に該当するわけではありません。物品販売をしたとしても物品販売業に該当しないものは、以下のとおりです。

(1)会員等に対する物品の販売
例えば学校法人のOB会の会員に対して有償で物品の頒布を行っている場合、物品販売に該当しますので物品販売業にも該当するのが原則です。しかし、その頒布行為が、物品の用途や頒布価額などからみて専らその会員からその事業的規模などに応じて会費を徴収する手段として行われているものと認められる場合、実質的には物品販売ではなく会費の徴収と判断することができます。
したがって、この場合には物品販売であっても物品販売業には該当しません。

(2)教科書その他これに類する教材の販売
学校法人が行う「教科書その他これに類する教材」の販売は、物品販売ですが物品販売業には該当しません。この場合には、物品販売業ではなく教育事業と判断されるためです。
ここでいう「教科書その他これに類する教材」とは、教科書、参考書、問題集等であって、学校の指定に基づいて授業において教材として用いるために生徒等を対象に販売するものをいいます。なお、教科用図書だけでなく市販されている教材であっても、学校の指定に基づいて授業の教材として用いられるものであれば、これも「教科書その他これに類する教材」に含まれます。

(3)バザーによる物品販売
学校法人が行うバザーで年1、2回開催される程度のものは、物品販売ですが物品販売業に該当しないものとされています。学校法人の多くがバザーを行っていることと、年1、2回であれば継続的な物品販売でないことから、物品販売業とまではいえないためです。
年1、2回というのは目安ですので、何回バザーをすれば収益事業に該当してしまうかの具体的な回数については、学校法人ごとに個別的な判断をされます。

以上

斎藤総合税理士法人 照井


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