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学校会計のチカラ
内訳表について 4

前回は「資金収支内訳表等の部門別計上及び配分について(通知)」(文管企第250号 昭和55年11月4日。以下、250号通知といいます。)に関し、人件費支出の取扱いについて解説しました。250号通知においては、人件費支出について「貼り付け」と「学校法人」部門の職員人件費支出の取扱いが特徴的な点であることを確認して頂けたことと思います。今回は、主に各部門間又は各学部・学科間等に共通する収支に関する配分方法について解説します。なお、文中意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておきます。

250号通知では、各部門間又は各学部・学科間等に計上又は配分する収支に関し、以下のとおり定めています。

  1. 特定の部門(学部・学科等に細分される場合は、当該部門の学部・学科等とする。)のものとして把握できる収入額及び支出額については、当該部門、学部・学科等へ直接計上する。
  2. 各学部間又は各学科間等に共通する収入額及び支出額については「大学共通」又は「短大共通」等の欄を設け、各科目ごとにその金額を計上することとし、2以上の部門に共通する収入額及び支出額については「部門共通」の欄を設け、各科目ごとにその金額を計上する。
  3.  (2)により計上した共通の欄の金額は、次の方法により関係部門、学部・学科等へ各科目ごとに配分するものとする。その配分は、当分の間原則として当該関係部門、学部・学科等における在学者数、教(職)員数、使用時間又は使用面積等(以下「在学者数等」という。)妥当と考えられるものの比率による。なお、この場合配分の基準の選択にあたっては、いたずらに計算が複雑とならないよう留意することも必要である。
  •  「部門共通」に計上した各科目ごとの金額は、まず在学者数等の比率により関係部門に配分する。当該部門に複数の学部・学科等を置く大学・短大等にあっては、配分額を「大学共通」、「短大共通」等に計上するものとする。
  • 「大学共通」、「短大共通」等に計上した金額の学部・学科等への配分は、上記の処理が終了した後、各科目ごとに配分する。
  1. (3)の方法により配分できない「部門共通」の収入額又は支出額がある場合は、各部門、各学部・学科等の収入額又は支出額の合計額の比率により各科目ごとに配分する。
  2. 配分の方法は、特別の理由がない限り、毎年度継続して同一の方法により行うものとする。
  3. 配分の計算過程を明示する諸表及び配分の基準とした在学者数等の基礎資料は、資金収支内訳表と一体として保存する。

このように250号通知では、各部門、各学部・学科等への計上及び配分について、まず特定の部門あるいは学部・学科等に固有の収支を当該部門、学部・学科等に直接計上し、各部門又は各学部・学科間に共通する収支は、以下の手順で各部門、各学部・学科間に配分することを求めています。

  1. 2以上の部門(例えば、大学と短大等)に共通する収支は、「部門共通」を設け、各収支科目(例えば、光熱水費支出や損害保険料支出等)ごとに計上し、特定部門の共通収支については、「○○共通」(例えば、「大学共通」や「短大共通」等)を設け各収支科目ごとに計上する。
  2. 「部門共通」収支は、在学者数や教職員数、使用時間数、使用面積等妥当と考えられる基準により、関係部門(例えば、大学及び短大等)に配分する。この場合、複数の学部・学科を設置する大学や短大等にあっては、配分額を「大学共通」、「短大共通」に計上する。
  3. 「大学共通」、「短大共通」等に計上した金額をそれぞれの学部・学科に計上する。
  4. 以上の配分過程で、「在学者数等」の配分基準によることができない「部門共通」収支については、各部門、各学部・学科等の収入額又は支出額の合計額の比率によって各科目ごとに配分できる。これを「特例配分」と呼んでいます。

上記手順を経て、「部門共通」や「大学共通」等に計上された金額は必ずいずれかの部門、学部・学科等に配分され、計上されることになります。なお、250号通知では「部門共通」等を配分するにあたってさらに留意すべき点を次のとおり示しています。

  1. 配分の基準として採用する在学者数等は、学校法人において妥当と考える基準日を設定して算出することとし、また一旦採用した基準日及び配分の方法は特別の理由がないかぎり毎年継続して適用すること。
  2.  「部門共通」に計上した金額を関係部門に配分する場合、大学部門、短大部門等で複数の学部・学科等を置くものは、先ず「大学共通」、「短大共通」等の共通欄にこれを計上するものとすること。
  3. 「部門共通」に計上した金額のうち、在学者数等によって比例配分できないもの又は当該収入・支出の性質からみて在学者数等による比例配分を行うことが不適当と思われるものについては、例外的に上記(1)~(3)の手順を踏んだ後に算出される各部門、各学部・学科等の収入額又は支出額の合計額によって比例配分することができること。
  4. 各計算段階で使用した在学者数等の配分の基準を、「配分方法」欄に注記すること。なお、この場合、基準日についても配分の基礎資料に明記しておくこと。
  5. 前述の手順で作成した諸表及び在学者数等の基礎資料は、資金収支内訳表と一体として保存しなければならない(所轄庁に届出る資料とする趣旨ではない。)こと。

知事所轄学校法人については、大学のように学部や学科別の区分がないため、一般的には「部門共通」のみあればよく、「高校共通」等の欄は必要ありませんが、高校で全日制と定時制、通信制等複数の課程を有している場合には、「高校共通」を設けることが必要になります。なお、高校、中学、小学校、幼稚園を設置する学校法人にあっては、一般的に高校と中学にまたがる共通収支が多いと考えられるため、事務上は「高中共通」を設け、年度末等で一括して配分することも考えられます。

(参考)「学校会計入門」改訂第7版 齋藤力夫編著(中央経済社)

(公認会計士 芦澤 宗孝)


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