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学校会計のチカラ
内訳表について 2

前回は、資金収支内訳表や人件費支出内訳表、事業活動収支計算書(以下、資金収支内訳表等といいます。)において、部門をどのように設定するのかについて解説しました。今回は、設定した部門(特に学校法人部門)において、収入・支出をどのように計上するのか解説します。なお、文中意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておきます。

資金収支内訳表等における収入・支出の把握については、「資金収支内訳表等の部門別計上及び配分について(通知)」(文管企第250号 昭和55年11月4日。以下、250号通知といいます。)において定められています。250号通知は以下の3点に要約されます。

  1. 資金収支内訳表等の作成上「学校法人」部門の業務の範囲を定め、「学校法人」部門に直接計上する収入・支出の内容を限定列挙したこと
  2. 人件費支出について、教職員をいずれかの部門に割り当てる方法によって部門別計上を行うこととしたこと
  3. 各部門間又は各学部・学科間等に共通する収入額及び支出額についての配分方法を具体的に示したこと

それでは、今回は250号通知の概要の①について解説します。250号通知においては、「学校法人」部門の業務を以下のように限定列挙しています。

  • (ア)理事会及び評議員会等の庶務に関すること
  • (イ)役員等の庶務に関すること
  • (ウ)登記、認可、届出その他法令上の諸手続に関すること
  • (エ)法人主催の行事及び会議に関すること
  • (オ)土地の取得又は処分に関すること(他の部門の所管に属するものを除く。)
  • (カ)法人運営の基本方針(将来計画・資金計画等)の策定事務に関すること
  • (キ)学校、学部、学科(学部の学科を含む。)等の新設事務に関すること
  • (ク)その他「学校法人」部門に直接かかわる庶務、会計、施設管理等に関すること
  • (ケ)他の部門の業務に属さない事項の処理に関すること

この点、上記250号通知における会計上の「学校法人」部門の業務と実際に各学校法人に設置される組織上の法人本部や法人部門の業務とは必ずしも一致していないことに注意が必要です。250号通知では、学校法人が法律上存続していくうえで基本的な業務を明らかにし、当該業務を遂行する部署を会計上1つの部門として区分したものを内訳表上「学校法人」部門として把握しています。
また、250号通知では、「学校法人」部門に直接計上する収入額又は支出額は、「学校法人」部門の業務の運営に必要な収入額又は支出額で以下に掲げるものと定めています。

ア.収 入

  • (ア)「学校法人」部門の業務の運営に必要な建物、設備に係る使用料収入及び資産売却収入並びに「学校法人」部門の業務の運営に関連して生ずる雑収入
  • (イ)土地の処分等に係る売却等収入(他の部門に属するものを除く。)
  • (ウ)「学校法人」部門の業務に係る支出に充てるものとして収受された寄附金収入、借入金等収入
  • (エ)「学校法人」部門の業務に係る支出に充てるものとして収益事業会計から繰入れられた収入
  • (オ)前述の「学校法人」部門の業務である(ア)~(ク)の支出に充てるものとして運用している預金・有価証券等に係る受取利息、配当金収入及び当該有価証券売却収入
  • (カ)学校、学部・学科(学部の学科を含む。)等の新設に係る支出に充てるものとして収受された寄附金収入等

イ.支 出

  • (ア)学校法人の役員等の報酬等の支出
  • (イ)理事会及び評議員会等の開催経費の支出
  • (ウ)主として「学校法人」部門の業務に従事する職員の人件費支出
  • (エ)「学校法人」部門の業務の運営に必要な建物設備の取得・保全に係る支出
  • (オ)土地の取得又は保全に係る支出(他の部門に属するものを除く。)
  • (カ)「学校法人」部門の業務に係るものとして運用している借入金等の利息支出及び返済支出
  • (キ)学校、学部・学科(学部の学科を含む。)等の新設に係る支出
  • (ク)その他「学校法人」部門に掲げる業務の運営に直接必要な支出

このように250号通知では、一般的に「学校法人」部門の業務の範囲を特定することにより、「学校法人」部門に直接計上する収入額・支出額を、これらの業務の運営に必要なもののみとし、更にこれらに係る収入・支出科目を限定しています。また、特に「学校法人」部門に収入額・支出額を計上するにあたっては、以下の点に留意することが示されています。

  •  250号通知は、「学校法人」部門の業務の範囲及び直接計上できる収入額・支出額の範囲を具体的に明確にしたものであり、不明確なものがあるからといって「学校法人」部門に計上することは考えていないこと
  • 各内訳表における新設の学校等の部門認定は認可の日ではなく、開設年度当初の日からとすること
  • 「学校、学部・学科(学部の学科を含む。)等の新設」には、大学院(学部に基礎を置かない大学院を含む。)、高等学校の課程の新設を含むこと

(公認会計士 芦澤 宗孝)


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