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学校会計のチカラ
基本金について8

前回は、基本金の取崩しの概要について解説しました。基本金の取崩しは平成17年の学校法人会計基準(以下、基準といいます。)の改正により学校法人からするとかなり自由に行えるようになったため、安易な組入れや取崩し(特に第2号基本金と第3号基本金)が行われないよう、理事会等により慎重かつ厳格な判断を行うことが求められます。今週は基本金の取崩しの続きです。なお、文中意見にわたる部分は、筆者の私見であることをお断りしておきます。

これまで、基本金の組入れと取崩しの概要について解説しましたが、最終的な基本金の計算は組入対象額と取崩対象額の全体を把握したうえで行うことは、前回冒頭で解説したとおりです。今回は、その具体的な方法について各号の基本金ごとに解説します。

基本金の計算手順は、まず各号ごとに基本金の組入対象額と取崩対象額を把握することから始めます。

① 第1号基本金の組入対象資産の取得がある場合(取替更新を除く。次の②においても同じ。)
取得資産の取得価額(要組入額)から当該資産に関し、建設仮勘定及び第2号基本金によって既に基本金に組入れられている金額を控除した金額を組入対象額とします。

② 第1号基本金の組入対象資産の除却又は売却をした場合
除却又は売却をした資産の取得価額から翌年度繰延額を除いた金額を取崩対象額とします。この翌年度繰延額は除却資産と同じ種類の資産(例えば、学生寮の建て替えなど)を再取得するために必要な額を翌年度以降に繰り延べるものです。

③ 第1号基本金の組入対象資産の取替更新がある場合
取得資産の取得価額と取替更新による除却資産の取得価額との差額を要組入額とします。この場合、要組入額がプラスの場合には上記①に準じて計算し、要組入額がマイナスの場合はこの除却差額を除却資産の取得価額とみなして上記②に準じて計算します。

④ 過年度未組入額の当期組入額がある場合
過年度未組入額に関し、当期において借入金の返済、未払金の支払いなどによる当年度組入額がある場合は、そのすべてを組入対象額とします。

⑤ 第2号基本金及び第3号基本金の組入れ及び取崩しがある場合
それぞれの基本金の計画に基づき組み入れられるべき金額が組入対象額となり、計画の縮小又は廃止に伴い取り崩すべき金額は取崩対象額となります。

⑥ 第4号基本金の組入れ又は取崩しがある場合
文部科学大臣裁定に従い、定められた計算の結果、組み入れとなった場合は組入対象額となり、取り崩しとなった場合は取崩対象額となります。

次に、第1号基本金から第4号基本金ごとに組入対象額と取崩対象額を集計し、各号の基本金ごとに組入対象額の合計から取崩対象額の合計を差し引きし、その差額がプラスかマイナスかにより以下のとおり処理します。ただし、第2号基本金から第1号基本金への振替額がある場合には、これを除いて計算します。また、第4号基本金は、組入額か取崩額のいずれかしか算定されないため、第4号基本金のみ組入額か取崩額かどちらか算定されなかった方をゼロとみなして以下の判定式により判定してください。なお、基本金の計算を部門別(いわゆる学校別)に行う場合には、上記計算は部門別に行うことになる点にご留意ください。

(組入対象額の合計-取崩対象額の合計)>0………………その差額を組入額とする。
(組入対象額の合計-取崩対象額の合計)<0………………その差額を取崩額とする。

(参考)「学校法人会計のすべて」第3版 齋藤力夫編著 税務経理協会

(公認会計士 芦澤 宗孝)


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