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学校会計のチカラ
基本金について6

前回は、第3号基本金についてその概要を解説しました。第3号基本金は、第2号基本金と同様、理事会等による慎重かつ厳格な決議のもと認められる基本金であることがお分かり頂けたと思います。それでは、今週は第4号基本金について解説します。なお、文中意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておきます。

第4号基本金の組入れ対象資産は、学校法人会計基準(以下、基準といいます。)第30条第1項第4号に以下のとおり定められています。

第30条第1項第4号 恒常的に保持すべき資金として別に文部科学大臣の定める額

学校法人が、安定して適切に運営されるためには、常に一定額以上の資金を有している必要があります。そのため、一定額の必要資金の額を恒常的に保持すべき資金の額と定め、第4号基本金として組み入れて、継続的に保持させようとしています。支払資金は、基準第6条により、「現金及びいつでも引き出すことができる預貯金」をいいますが、第4号基本金に関し恒常的に保持すべき資金は、支払資金に限定されずより広い概念として捉えられ、他の金融資産も含まれると解されています。ただし、恒常的に保持すべき資金は、運転資金の性格からみて、いつでも換金できる性格と元本が確実に保証されているものに限定されると考えられます。
第4号基本金に組み入れるべき具体的な金額は、上記基準のとおり、文部科学大臣の定める額とされているため、平成25年9月に文部科学大臣裁定(文科高第381号)が公表されています。具体的な第4号基本金の計算方法は、以下のとおりです。

1.原則

前年度の事業活動収支計算における

  1. 教育活動収支の人件費(退職給与引当金繰入額及び退職金を除く。)
  2. 教育活動収支の教育研究経費(減価償却額を除く。)
  3. 教育活動収支の管理経費(減価償却額を除く。)
  4. 教育活動外収支の借入金等利息

の決算額の合計を12で除した額(100万円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨てることができる。)とします(以下、計算額といいます。)。これは、学校法人の経常的な支出の約1ヶ月分を第4号基本金として保持すべきということを意味しています。なお、上記により計算した額が前年度の保持すべき資金の額を下回るときは、その差額を取崩しの対象とします。

2.特例
  1. 計算額が、前年度の保持すべき資金の額の100分の80以上100分の100未満の場合には、原則により計算された額ではなく、前年度の保持すべき金額をもって、当年度の保持すべき資金の額とする。
  2. 計算額が、前年度の保持すべき資金の額の100分の100を超えて100分の120以内の場合には、原則により計算された額ではなく、前年度の保持すべき資金の額をもって、当年度の保持すべき資金の額とすることができる。

当年度の計算額が前年度の第4号基本金の額の80%以上100%未満の場合は、第4号基本金の取崩しは不要であり、また、100%超120%以内の場合には第4号基本金の組入れをすることも前年度のままとすることも可能です。したがって、前年度の第4号基本金の額の80%未満となった場合には必ず取崩し、120%超となった場合には必ず組入れを行います。なお、基準の改正により、経過措置があるため、以下に示します。

3.経過措置
  1. 平成27会計年度に係る計算額(参考 当年度の第4号基本金 ①改正前参照)
    上記1.及び2.にしたがった計算額とします。
  2. 平成28会計年度に係る計算額(参考 当年度の第4号基本金 ②経過措置参照)
    平成28会計年度に係る計算額が、平成27会計年度に係る第4号基本金の額を下回る場合については、平成28年度会計年度に係る計算額とします。上回る場合については、平成27会計年度と同様です。
  3. 都道府県知事所轄法人に関する特例
    都道府県知事を所轄庁とする学校法人については、それぞれ1年間遅らせる形で読み替えます。

Q
第4号基本金の組入れに関して、法人全体で組入額を計算するのか又は部門別に組入額を計算すべきであると考えるのかどちらでしょうか。

(日本公認会計士協会 基本金に係る実務上の取扱いに関するQ&Aより抜粋)

A

第4号基本金の恒常的資金の組入れは法人全体で計算するのが原則であり、その結果、部門別に120/100 を超過又は80/100 を下回ることはやむを得ない。ただし、会計単位及び資金が部門別に独立している場合は第4号基本金の計算を部門別に行うこともできる。

(公認会計士 芦澤 宗孝)


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