令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等
(施行日:令和7年12月1日)
更新日:2025/09/29
令和7年および令和8年向けの税制改正にともなう給与システムの対応について
物価高に対応する負担軽減や、「年収の壁」による働き控えを抑止するため、令和7年の所得税計算に関わる幾つかの法改正が行われました。
これによりレーザー〈学校給与〉システムも一部機能を改修し改正に対応する予定となっています。
改正内容の概要
※出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025kiso/index.htm) (一部内容を加工して掲載)
❶ 〖基礎控除見直し〗
(1)次のとおり、合計所得金額に応じて、基礎控除額が改正されました。
- ※改正後の所得税法第86条の規定による基礎控除額58万円(改正前48万円)に、改正後の租税特別措置法第41条の16の2の規定による加算額を加算した額となります。
- ※合計所得⾦額が655万円以下の場合は、58万円にそれぞれ合計所得金額に応じ37万円、30万円、10万円、5万円を加算した⾦額となります。なお、この加算は、令和7年と令和8年に居住者についてのみ適用があります。
- ※合計所得金額2,350万円超の場合の基礎控除額に改正はありません。

(2)基礎控除額の改正に伴い、令和8年分以後の「源泉徴収税額表」及び公的年金等に係る源泉徴収税額の計算における控除額について、所要の改正が行われました。
❷ 〖給与所得控除の見直し〗
(1)給与所得控除について、55万円の最低保障額が65万円に引き上げられました。

(2)給与所得控除の改正に伴い、令和7年分以後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の⾦額の表」及び令和8年分以後の「源泉徴収税額表」が改正されました。

❸ 〖特定親族特別控除の創設〗
(1)居住者が特定親族を有する場合には、その居住者の総所得⾦額等から、その特定親族1⼈につき、その特定親族の合計所得⾦額に応じて最⾼63万円を控除する特定親族特別控除が創設されました。なお、年末調整において特定親族特別控除の適⽤を受けようとする⼈は、給与の支払者に「給与所得者の特定親族特別控除申告書」を提出する必要があります。
注)「特定親族」とは、居住者と⽣計を⼀にする年齢19歳以上23歳未満の親族(配偶者、⻘⾊事業専従者として給与の⽀払を受ける⼈及び⽩⾊事業専従者を除きます。)で合計所得⾦額が58万円超123万円以下の⼈をいいます。


(2)令和8年1月以後に支払うべき給与及び公的年金等について、それぞれ次の場合に、特定親族特別控除が各⽉(⽇)の源泉徴収の際に適⽤されることとされました。
- 給与 : 親族の合計所得⾦額が58万円超100万円以下である場合
- 公的年⾦等 : 親族の合計所得⾦額が58万円超85万円以下である場合

❹ 〖扶養親族等の所得要件の改正〗
(1)基礎控除の改正に伴い、次のとおり、扶養控除等の対象となる扶養親族等の所得要件が改正されました。
- 扶養親族及び同⼀⽣計配偶者の合計所得⾦額の要件 : 58万円以下(改正前:48万円以下)
- ひとり親の⽣計を⼀にする⼦の総所得⾦額等の合計額の要件 : 58万円以下(改正前:48万円以下)
- 勤労学⽣の合計所得⾦額の要件 : 85万円以下(改正前:75万円以下)
また、給与所得控除の改正に伴い、家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保障額が65万円(改正前:55万円)に引き上げられました。
❺ 《令和8年分以後の給与の源泉徴収事務における留意事項》
(1)扶養控除等申告書の記載事項の変更
令和7年分までの「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」及び「従たる給与についての扶養 控除等(異動)申告書」(以下、併せて「扶養控除等申告書」といいます。)には、「控除対象扶養親 族」を記載することになっていましたが、上記❸の「特定親族特別控除の創設」に伴い、令和8年分以後の扶養控除等申告書には、「源泉控除対象親族」(次の①又は②のいずれかに該当する人) を記載することとされましたので、従業員の方に、記載漏れがないか注意喚起してください。


レーザー〈学校給与〉システムでの対応予定
今年11月の定期リリースにおいて以下の対応を行う予定になっています。
※記載内容は対応予定の概要です。また、内容が変更になる場合もありますので、詳細についてはリリース時に公開される「対応内容一覧」やヘルプファイルをご参考ください。
❶ 〖基礎控除見直し〗について
1. 年帳表の下図赤枠【基礎控除の額】を改正後の最新の表に更新し、新たな金額で控除額を計上します。

2. 令和7年以降の「給与所得者の基礎控除申告書」の様式を変更します。

❷ 〖給与所得控除の見直し〗について
1. 年帳表の下図赤枠【別表第1】と【別表第2】を改正後の最新の内容に更新し、新たな金額で控除額を計上します。

❸ 〖特定親族特別控除の創設〗について
1. 年帳表に「年調表(給与控除額2)」のタブを新設し特定親族特別控除の表を新たに設けます。

2. 職員情報と年末調整の個人画面(扶養の情報)に「特定親族(源泉控除)」と「特定親族(源泉控除外)」のフィールドを新たに設け、登録した扶養親族情報から該当者を自動で判断し、それぞれ対象人数を計算します。

3. 「給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除、特定親族特別控除及び所得金額調整控除の申告書」に特定親族の内容を印刷します。

4. 年末調整の個人画面(年末調整計算情報)に「特定親族特別控除額」のフィールドを新たに追加し、該当者について特定親族特別控除の表から金額を求めセットします。

❹ 〖扶養親族等の所得要件の改正〗について
1. 年調表と月額表の該当部分の金額を48万円から58万円に変更し、扶養親族や配偶者の該当の判断とします。
【年調表】


【月額表】

❺ 《令和8年分以後の給与の源泉徴収事務における留意事項》について
1. 月額表について給与の甲欄と乙欄、賞与の甲欄と乙欄を令和8年の内容を提供します。

令和8年以降の最初の給与または賞与計算の前に表を切り替えて頂きます。
その他
1. 以下の申告書・帳票について新様式に対応します。
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(翌年申告分)
- 給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除、特定親族特別控除及び所得金額調整控除の申告書
- 源泉徴収票
- 源泉徴収簿 兼 賃金台帳
2. 以下のデータ出力機能について新フォーマットに対応します。
- 源泉徴収票ファイル
- e-Taxファイル
- 給与支払報告書ファイル



