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学校会計のチカラ
計算書類の注記 1

 今月は学校法人が作成する計算書類の注記事項について解説していきます。学校法人会計基準では、計算書類の末尾に一定の注記事項を記載することを求めています(学校法人系基準第34条各項)。
 初回は、注記事項の概要と重要な会計方針に関する内容を取り上げます。

1.計算書類の注記事項の概要

 学校法人会計基準では計算書類の末尾に記載する注記事項として以下のものを規定し ています(学校法人会計基準第34条1~8項)。
  • 重要な会計方針
  • 重要な会計方針の変更
  • 減価償却額の累計額の合計額
  • 徴収不能引当金の合計額
  • 担保に提供されている資産の種類と金額
  • 翌会計年度以後の会計年度において基本金への組入れを行うこととなる金額
  • 当該会計年度の末日において第4号基本金の金額に相当する資金を有していない場合のその旨と対策
  • その他財政及び経営の状況を正確に判断するために必要な事項

2.重要な会計方針の記載

 学校法人の計算書類に必ず記載する重要な会計方針は、徴収不能引当金及び退職給引当金等の引当金の計上基準です(「学校法人会計基準の一部改正に伴う計算書類の作成について(通知)(平成17年5月13日 17高私参第1号)」)。同通知では、このほか以下の会計方針について、重要性があると認められるときは記載するものとしています。
  • 有価証券の評価基準及び評価方法
  • たな卸資産の評価基準及び評価方法
  • 外貨建資産・負債の本邦通貨への換算基準
  • 預り金その他経過項目に係る収支の表示方法
  • 食堂その他教育活動に付随する活動に係る収支の表示方法
以下では、上記の重要な会計方針の記載について解説いたします。

(1)徴収不能引当金の 計上基準
 未収入金等の金銭債権の徴収不能に備えるために採用した徴収不能引当金の計上基準を記載します。具体的には、徴収不能実績率等を用いて引当額を計算する方法や個別に徴収不能見込額を見積る方法などがあります。


(2)退職給与引当金の計上基準
 退職給与引当金については、退職給与規程等に基づいて算出した退職金の期末要支給額の100%を基礎として計算するものとされています(「退職給与引当金の計上等に係る会計方針の統一について(通知)(平成23年2月17日 22高私参11号)」)。財団法人私立
大学退職金財団や各都道府県ごとに設立された私立学校退職金団体に加入している学校法人では、退職給与引当金の計上基準の注記において、必要な調整や交付される額を控除して見積もり計算している旨を記載します。
 また、上記通知により、平成22年度末における退職金の期末要支給額の100%を基にして計算した額と退職給与引当金残高との差額、いわゆる変更時差異を10年以内で毎年度均等額を繰り入れる処理を採用しているときは、「その他財政及び経営の状況を正確に判断するために必要な事項」にその旨を記載し、あわせて事業活動収支計算書におい「退職給与引当金特別繰入額」について説明を付します。


(3)有価証券の評価基準及び評価方法
 学校法人会計基準第25条では資産の評価は取得価額をもってするものとされており、有価証券の評価基準は保有目的に関わらず原価法が適用されます。また、債券を債券金額より高い又は低い価額で取得した場合において、その差額が金利の調整と考えられるときは、当該差額を償還期まで毎期一定の方法で貸借対照表価額に加減する償却原価法も、原価法の枠内の処理方法として認められています。
 有価証券の評価方法は、「退職給与引当金の計上等に係る会計方針の統一について(通知)」において、移動平均法によるものとされています。


(4)たな卸資産の評価基準及び評価方法
 貯蔵品等のたな卸資産の評価基準は、上記の有価証券の場合と同様に原価法が適用されます。


(5) 外貨建資産・負債の本邦通貨への換算基準
 外貨建の金銭債権債務は外貨建を円貨に換算して表示しますが、年度末日の為替相場で換算する場合と取得時又は発生時の為替相場で換算する場合とでは計算書類に与える影響が異なることから、金額的な重要性がある場合には外貨建資産・負債の換算基準を注記するものとされています。
 また、外貨建資産・負債について取得時又は発生時の為替相場で換算しているときは、「その他財政及び経営の状況を正確に判断するために必要な事項」において、主な外貨建資産・負債として、年度末日の為替相場で円換算した金額及び換算差額を注記します。
 預り金その他経過項目に係る収支の表示方法と食堂その他教育活動に付随する活動に係る収支の表示方法については、次回に解説いたします。


永和監査法人
公認会計士   大島隆光


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